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前回記事(私がフリーランスになった理由/組織という生き物)では、組織に分断が起こるのは必然であり、分断が起こることを想定して制度・仕組みをデザインする必要がある、と述べました。さらに、こうした制度・仕組みを運用する側の継続する意志が欠かせないとも書きました。

では、継続する意志を可能にするものとは一体何でしょうか?まず一番に挙がるのが、経営トップのコミットです。「あの会社は危機的状況からよみがえった」とか「暗かった社内の雰囲気が180度変わった」などといったエピソードの多くは、経営トップの旗振りのもとで成し遂げられるものです。現場のしがらみにとらわれない経営トップだからこそ、過去の慣習を覆すような取組みを断行することができる、という側面があることは事実でしょう。

ところが、こうして成功した変革が継続するかいうと必ずしもそうではありません。社長や役員は数年以内に代替わりしていきますので、組織運営方針が継承されるかどうかにかかってきます。まして、経営トップの交代に際しては、独自色を示すために過去の否定が行われることもあります。もしくは「組織風土を良くしよう」というかけ声は同じでも、「対話を重ねよう」だったものから「人材評価ツールを導入しよう」へとアプローチが変化するケースもよく見られます。そうして経営トップのかけ声に合わせて制度がころころ変わることで、”組織変革疲れ”の状況に陥ってしまうのです。

つまり、経営トップは組織変革を成功させるカギを握っているのと同時に、うまく意志を継承しないと“組織変革疲れ”にも加担してしまう可能性があるということです。では、継続する意志を担保するためには、経営トップのコミットに加えて、何が必要なのでしょう?

本当に組織を動かしているのは誰か?

このことを考えるには、誰が実質的に組織を動かしているのか?という点に注目する必要があります。

日本企業、とくに数百人、数千人規模の組織において、「平常時」に意思決定のカギを握っているのは、多くの場合経営トップではありません。彼ら彼女らは「非常事態」に際して大きな方向転換の意思決定を下す立場にあります。ただ、「平常時」には会社として掲げる事業目標の達成に向けて、粛々とマネジメントに専念しているケースがほとんどのように思います。

では「平常時」の実質的な意思決定は誰が行なっているのでしょうか?答えは部長たちです。会社によって見ている範囲が異なりますので、30〜50人程度の部下を持つ管理職、と聞いてイメージする役職に置き換えていただければOKです。日々発生する案件ごとの戦略的判断や、組織運営に関わる問題解決など「平常時」における日々の意思決定には、部長たちが深く携わっています。

「部長たちが実質的に組織を動かしている」と申し上げたのは、まさに「平常時」の意識が変化することがポイントだからです。いくら経営トップが旗を振っても、「平常時」の意思決定に携わる人々の意識が同じであれば現場にまで変革は行き渡らないのです。

さて「経営トップのコミットに加えて何が必要か?」という問いに戻ると、もう一つは変革を体現するコアチームの存在です。コアチームというのは、文字通り変革のコア(核)となって自ら行動・体現し、周囲に変化を伝播させていくチームのことです。このコアチームが部長たちの間で形成されると、変革は揺るぎないものになります。経営トップによる個人的な想いだったものから、組織に根付いたチームとしての意図へと、シフトが起きるからです。

実際に、私と同僚たちの活動は、経営トップのコミットを引き出しつつ、それをトップ個人の想いに終わらせずに、現場の部長たちの中に変革のコアチームをつくっていくことを目指していました。こうして、経営と現場が連動したかたちで、継続する意志を伴った変革活動が生まれるのを支援してきた、というのが直近4年あまり携わってきた組織変革コンサルティングの中身です。

いかにしてコアチームをつくるか?というテーマについても、また別の回で触れたいと思います。