ヒマワリ

そう言えば、私がなぜフリーランスとして独立することにしたのか?改めて書き残しておこうと思います。ついつい「これから」のことに目が向かいがちなのですが、「これまで」と自分自身の初志を記録しておくためにも、今のうちに言語化しておく意味があるだろうと思うからです。

フリーランスになる前、直近の4年ほどは、主に大企業における組織変革コンサルティングに携わってきました。組織変革などと言うと抽象的ですが、一言で表すならば「組織で起きているあらゆるコミュニケーションの分断をつないで、新しい関係性を生み出していく仕事」と言えるでしょう。

コミュニケーションの分断と書きましたが、これは経営層・ミドルマネジメント層・若手層といった階層間の分断もあれば、営業・開発のような機能間の分断もあります。誤解を恐れずに言えば、人の営みがあるところには必ず分断が起きる可能性を含んでいる、と言えます。それはなぜでしょうか?

はじめから分断を起こすことを目的として組織をつくる人はいないでしょう。みな良かれと思って組織を大きくし、組織が大きくなると今度は機能ごとに区分していっただけなのです。こうした組織の成長に伴う組織形態の変化は、多くの場合無意識的に、まるでそれ以外に方法などないかのような感覚で進んでいきます。

ところが、すでに多くの皆さんが気付いているように、組織に何らかの線を引いた途端に、コミュニケーションや関係性においても線が引かれる(=分断される)、ということが起きるのです。線の「こちら側」と「あちら側」という対立構造が生まれると、「こちら側」の利益を優先したくなるのは自然な心理です。ですから「どうもうちの営業部と開発部が協力し合わない」「マネジメント層と現場層とで危機意識のギャップが大きい」のような状況は、ある意味当然の帰結だと言えるでしょう。

分断が起きることを織り込んで組織をデザインする

では、組織を成長させていく上で、分断が起きることは本当に避けられないのでしょうか?こう聞くと「それなら、階層や機能ごとの区分を極力なくした組織をつくるのはどうだろう?」という考えも出てきそうですね。もちろん、理論上は可能でしょう。ただ、100人や1000人のような規模になった時には、情報伝達や意思決定をする上でのコミュニケーションコストが高くなり過ぎて、身動きが取れなくなってしまうことが想像されます。

つまり、そもそもは効率的な組織運営のために線を引くということが行われてきたので、線を引かないということはどうしても効率性と逆行してしまうのです。となると、効率性を失わずにコミュニケーションの分断を防ぐにはどうしたらいいだろうか?という問いが浮かんできます。

その1つの答えが、分断が起きることを織り込んで組織をデザインする、という方法です。つまり、組織に線は引かざるを得ない、けれどもその結果起きる分断を緩和するための手を予め打っておく、ということです。

具体的には、階層を超えた関係性を生む仕組みをデザインしておく(メンター制度、いわゆる飲みニュケーションなど)、機能を超えたコミュニケーションの場をデザインしておく(組織横断プロジェクト、人事ローテーションなど)といった方法です。「なんだ、それならうちの会社でもやってるよ」という声が聞こえてきそうですね。

ではなぜ、こうした制度・仕組みがあるにも関わらず、分断はなくならないのでしょうか?これにはいくつかの理由が考えられるでしょう。

  • 制度の運用自体が目的化してしまい、「分断を防ぐ」という本来の目的が見失われがちである
  • 制度・仕組みの効果が表れるまで時間がかかるので、「分断がなくならない」ように感じられる(もしくは、効果を待てずに打ち切られる)
  • 効果を実感した社員が全体に対してごく少数の場合、組織全体に波及しづらい
  • 制度・仕組みを導入した当時の経営者から代替わりする際に、意図が継承されずに打ち切られたり、縮小させられる

多くのケースに共通して言えるのは、制度・仕組みを運用する側の継続する意志が欠かせない、ということです。とりあえず試してみて、なかなか効果が出ないからと言って打ち切る、といったスタンスでは難しいでしょう。むしろ社員にとっては、制度がころころ変わることで「またいつものやつが始まったな」と”組織変革疲れ”とでも言うべき冷めた姿勢が蔓延することになります。

次回以降、この組織という生き物が抱える構造的な病と、私がどう向き合ってきたかを書いていきます。