森林

前回記事(AI(人口知能)がチームメイトかもしれない未来/『her/世界でひとつの彼女』)ではAI(人口知能)と一緒に仕事をしたらどうなる?という話を書きました。その中で、“感情に左右されない”+”空気(文脈)を読める”+”独創性とユーモアにあふれた”チームメイトを仲間にできる可能性について考えてみました。

今回はそこからさらに進めて、AIがどんな役回りを担ってくれるか?を考えてみたいと思います。私だったら一番にお願いしたいのはファシリテーターの役割です。ファシリテーターをAIに任せることができれば、他のメンバーは議論の中身に集中できると思うのです。

念のため、ファシリテーターの定義を見てみましょう。

ファシリテーション(facilitation)とは、人々の活動が容易にできるよう支援し、うまくことが運ぶよう舵取りすること。集団による問題解決、アイデア創造、教育、学習など、あらゆる知識創造活動を支援し促進していく働きを意味します。その役割を担う人がファシリテーター(facilitator)であり、会議で言えば進行役にあたります。

出典:日本ファシリテーション協会HP(https://www.faj.or.jp/)

つまり、チームとしての活動を円滑に進めていく上で潤滑油となってくれる存在、と言えます。逆に言えば、ファシリテーター自身の個人的な意見はなくても構わない訳です。あくまでチームが実現したい目的に対して忠実にサポートしてくれる、というところがポイントです。

ところで、どんな場面でも活躍する「理想的なファシリテーター」というのは存在するのでしょうか?少し考えてみれば分かりますが、新商品スイーツのブレスト会議と、宗教対立による内戦の調停会議とでは、求められるファシリテーターの役割は大きく異なります。「理想的なファシリテーター」の定義は状況と目的による、と言うべきでしょう。

こんなとき、AIファシリテーターに期待する役割とは?

ということは、会議の状況と目的をAIファシリテーターにインプットする必要があります。たとえば、こんな具合です。

状況:新商品の企画会議。アイデアは出尽くした感があるものの、そこから先の議論が煮詰まっていて、方向性を見失っている。みんなリードするのを嫌がって、話が脱線しがち。

目的:今の状況を打開して、新商品の方向性を明確に打ち出したい。そのためにも、本筋の議論をしっかり深めたい。

何だか身近にありそうな場面ですね。この状況と目的で、必要なAIファシリテーターの役割とはどんなものでしょう?たとえば、こんな役割が考えられます。

目標を定める:今回一番求められている役割です。どこを目指すのか?何のためにやるのか?という問いを持ち続けてくれます。

原点に立ち戻る:話が脱線して発散しがちな状況で、そもそも何の話をすべきか?何が本質的に大事なのか?に意識を戻してくれます。

調和をもたらす:結論を一つにまとめる上では、合意点に向かって議論するということが欠かせません。不要な対立を避け、結論に向かう雰囲気をつくってくれます。

逆に、今回不要な、もしくは邪魔な役割とはどんなものがあるでしょうか?

着想を広げる:今さら新しいアイデアを持ち出されても、収拾がつかなくなるのは間違いないでしょう。

慎重に考える:リスクを考慮したり、最悪のシナリオを想定するといった役割です。この役割は結論が出た次の回に取っておきましょう。

問題解決する:結論が出ていないうちから、今起きている問題に着目してそれを解決しようとすれば、結論は先送りになってしまいます。

いかがでしょうか?こうした役割の一覧があって、それぞれの強弱を場面に応じて調整できたら便利ですよね。「今日は『目標を定める』多めで」「今回は『着想を広げる』100%でいってみよう」といった感じで。

まとめると、AIファシリテーターにチームメイトになってもらう一つの方法は、状況と目的に合わせて役割を自由に設定できるパラメーター体系をつくることです。最初は人間の方でパラメーターを都度決める必要がありますが、将来的にはAI自身が”空気を読んで”最適な役割を担ってくれるようになるでしょう。